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JTCW2016

山中漆器をめぐる社会見学

 

コラボレーション・レポート第三回

ライフスタイルショップが自分たちでセレクトした伝統工芸品を、自分たちの方法で展示・販売するイベント「JTCW」。 今年はHAREMの東京と大阪にあるショールームも参加します。

イベント参加表明から開催当日までの変遷を追うこのコラムもようやく第三回。はやいものでもう来月です! その前に、どうしても産地を訪れておきたい。職人さんから直接お話を聞いておきたい。 どうやら産地は温泉もあるし、お酒も美味しいらしい。
ということで、蝉がかしがましいお盆前の夏も盛り。大阪ショールームがセレクトした「山中漆器」の産地である石川県山中町を訪問いたしました。

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またの名を、「石川県挽物(ひきもの)轆轤(ろくろ)技術研修所」。 ここは山中漆器の工程、技術、道具について見学できる場所であるとともに、挽物轆轤技術を習得できる研修所でもあります。

やはり漆器と聞いて最初に思い浮かべるのはお椀。 当然っちゃ当然ですが、丸太から始まるのを見るとやはり自然のものなんだなと改めて実感します。

木材は固めであればケヤキ、トチノキ、センノキ。柔らかいのはサクラが主で、木の風合いや固さで使い分けているそうです。家のお椀に仕上がるまでこれほどの工程を経るんですね!

先述の通りここは研修所でもあるので、研修生の方もいらっしゃいます。 実際に作業しているところにおじゃましました。

後ろから失礼いたします。
3種の様々な角度のカンナを使って木を挽きます。 木に木がはまっているのが見えるかと!薄い色の木が、これからお椀になる木です。 その外側の「はめ」も自分で挽いて作ります。 驚いたことに、カンナも鍛治で自作するそうです!

こちらは乾燥させている最中の木地。 何段階にも分けて乾燥させます。
木地は乾燥の段階でゆがむため、全部の形を揃えるのは相当な技術を要します。 挽きの工程の中で機械(旋盤)も登場しますが非常に扱いが難しく、 まず手で作れるようにならないと旋盤も扱えないんだとか。 どこまでも熟練の技を要しますね…。

漆を塗る工程も覗かせていただきました。 薄く伸ばして、3、4回重ね塗りします。

漆は湿度が70~80%程度ある室(ムロ)という場所で固まります。 この乾かす作業も難しいんだそうで… こんなに工程を経るのだから、職人さんたちの魂が込められない訳がない。 手で作られるものに温かみを感じるのに、なるほど納得しました。 そんな思いを胸に、一行はJTCWでコラボ予定の守田漆器さんへ…。

 

 

山中漆器についての知識が深まったところで、次は大阪ショールームがコラボレーションする守田漆器さんを訪問! これまでに手がけた商品たちに囲まれながら、守田貴仁専務にお話を伺いました。

守田貴仁専務

ー(「山中ウスビキライト」を見ながら)守田漆器さんはお椀のようないわゆる漆器だけではなく、ランプシェードも作られているんですね。どうしてこういう商品を開発しようと思ったんでしょう?

守田専務:ろくろを回して木を挽くんですけど、その技術の高度さはお椀ではアピールできなかったんですね。ここまで薄くできますよっていうデモンストレーションは出来ても、ならではの良さは伝わらないし実用性もない。そういったところから社員みんなでアイディアを出して話し合いを重ねて、こういう商品が生まれました。

ー確かに、技術にも圧倒されますが、光を透かした木目が心をほっとしてくれて、とても素敵な商品ですね。

守田専務:ほかにも、蓋がきれいにはまる茶筒みたいな合口ものだったり、ろくろで同じ太さの線をずっと挽ける技術とか、機械的なところを手で、それも天然のものを使って作れるのはすごい高度な技術だと思うんですよ。それが伝えられる様なものを作りたいですよね。これきっかけでインテリアの世界にも飛び込んでいけますし。

守田漆器のランプシェード「山中ウスビキライト」

ーまさに今回、ローソファ専門店というインテリアの世界とのコラボレーションになりますが、この話が最初に出た時どんな印象を受けましたか?

守田専務:実際にお会いしてお話するまではどんな事になるのか想像できなかったです。木のものなので、LEDとはいえロウソクを入れる商品なんて発想もしなかったですね。

Dr.クマ(HAREM/プロダクトデザイナー):でも俺が考えたのは積み重ねていくだけのもので、ロウソクでジョイントさせたらどう?っていうのは、守田専務のアイディア。まさにコラボレーションで考えた商品です。

大量生産も、伝統も、挑戦も、全部あって産業として成り立っている。

ー守田漆器さんはどういう流れでJTCWへの参加に至ったのでしょう?HAREMもですが、今年が初参加ですよね。

守田専務:うちのお客さんで扇子屋さんがいるんですけど、その方が去年参加していて素敵なイベントだなと。もう本当に飛び込んでいった感じです。

ーなるほど!扇子も漆を使う部分ってありますもんね。伝統工芸の職人どうしの繋がりってどういった感じでしょう。

守田専務:売り手買い手の関係もあるし、最近は大きい展示会に伝統工芸も出て行く機会が増えたので、商品を見て面白いなと思ったら声をかけたり。あと、やはりどこも創り手の数が減ってきているので、元々その産地だけで完結できていたことが難しくなってきているんです。たとえば輪島塗や紀州漆器の木地は山中で作られたものであったり。そういう風にして繋がりが広がってはいますね。

ーそういう時代の流れの中で、山中漆器にも変化はありましたか?

守田専務:やはり昭和40年代頃からバブルがはじけるまでの「早く安く」が求められていた時代は、樹脂で大量生産というのが増えました。樹脂で出来たものに漆を塗ったり、逆に木地にウレタンを塗ったりもあります。そういうのは漆器ではなく「山中塗」と呼ばれていますね。

ーでもウレタン塗装だからこその、この色だったり発色の良さなんですよね。新しい流れの中で伝統を守りつつ、挑戦も楽しんでいるように思えます!

守田専務:そうですね。大量生産の部分もあるし、古くからある伝統を守ったり、新しい事に挑戦していく事もある。そういうのが全部あって産業として成り立っていると思います。

一店舗に一伝統工芸、密に話し合って作る。

ーもうあっという間にJTCWが始まりますが、このイベントにはどんな期待がありますか?

守田専務:新しい場所、新しいシチュエーションの中で、「こういうのも作れますよ」「こういう技術もありますよ」と発表できる。それはとても可能性の広がる話だなと思います。

Dr.クマ:ショップという出口が決まってるのがこのイベントの面白いところかなと。一店舗につき一伝統工芸で密に話し合って商品を作って、店舗は伝統工芸側から直に聞いた話を、直にお客さんに話せる。逆も然りで、フィードバックもちゃんとできる。

ー店舗も新しいお客さんを呼び込めるかもしれないし、お店のあり方を見つめ直すいい機会になるかもしれない。お客さんも、職人が作った伝統工芸品に触れて、もしくは購入して、生活が豊かになったり広がりが出るかもしれない。

Dr.クマ:来年は僕たちも別の伝統工芸と組むかもしれないし、守田漆器さんも別のショップと組むかもしれない。たとえば服屋さんと組むとして、「服屋さんが漆器を売るとしたらどんな考え方になるんだろう」って、僕たちも興味がわきます。そんな風に、創り手、売り手、買い手、いろんな人の可能性が広がるイベントだと思います。

ーまずはこのキャンドルスタンドがどんな風に仕上がるのか楽しみですね。店舗スタッフも見せ方を考えているところなので、引き続きよろしくお願いします!

守田専務:こちらこそ、よろしくお願いします。

> 守田漆器ブランド「ぬりもの静寛」HP
> 守田漆器ブランド「山中ウスビキライト」HP

次回は東京ショールームとコラボ予定の「江戸からかみ」を社会見学予定です!

Category : JTCW2016
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