モッキンフレーム開発秘話 – つみきソファ、後ろ姿も美しく...
そして2023年11月、久々に新たなオプションアイテムがデビューしました。その名も『MOKKIN FRAME(モッキンフレーム)』!つみきソファの背中を支えるためのフレームです。
どうしてこれが必要だったのか、どんな紆余曲折、試行錯誤を経たのか、開発ストーリーを辿ります。
つみきソファの構造上の、ちょっと弱点。
つみきソファは座面マットの上に背もたれパーツが載ったシンプルなつくりのソファです。
壁付け設置でない場合、後ろに支えがないとソファとして成り立ちません。もたれると背もたれが後ろにコロッと転がります。
つみきソファの背を支えてきたフレームの歴史
当初はソファを壁付け設置する前提で考えていたのでこれでヨシ!
だったのですが、お客様からの「ソファを部屋の真ん中に置きたい」というご要望を受けて、ソファの背を支える『サポートフレーム』が誕生しました。
インダストリアルな雰囲気でこれはこれでヨシ!
だったのですが、つみきソファはファミリー層に人気のソファ。もっとカジュアルに、ソファになじみやすいように、安全面も考慮して、ソファと同じ生地で作る専用の『サポートフレームカバー』が誕生しました。
これでヨシ!
そんなある日、ショールーム内を歩いていたスタッフが転んでサポフレで腹部を強打。
「もっと安全性を上げよう」と、ウレタンを使った『ソフトサポートフレームカバー』が誕生しました。
が、あまり売れ行きが芳しくなく、2021年9月をもって販売終了。
見た目がモコッとしすぎて存在感がありすぎたのと、実はそんなに需要が無かったようです。
ちょっと番外編ですが、つみきソファ専用ウッドフレーム『つみきの木』も誕生しました。
こちらは、座面を高くしたり、ウッドテイストにしたり、”つみきソファの背を支える” 以上の機能を持っています。
サポフレのデザイン、もっと良くなるのでは?
デビューより13年間、物理的にも人気的にもつみきソファを支え続けてきた『サポートフレーム(+カバー)』でしたが、HAREMのスタッフの頭には一抹のモヤモヤがずっとありました。
「デザイン、もっと良くなるのでは?」
ただ「これはこれで十分成り立ってるしな」と思うと、ついつい後回しに。
ですが、2020年頃からショールームスタッフの間で以下のような話題が度々出るようになりました。
「つみきソファは後ろ姿で検討から外れがち」
「もしかしたら知らないだけで、HAREMごと検討から外れてるかも?」
だ、だめじゃん!!!
『サポートフレーム(+カバー)』が優等生すぎて思考停止していたことに気づきました。
つみきソファの正面の姿を気に入ってくれた人には、後ろ姿も気に入ってもらいたい。
「これでいい」じゃなくて「これがいい」じゃなくちゃだめだ!
デザイン、どんなのがいい?
開発秘話、やっとここから始まります。
第1案:シンプルに、シンプルに。
つみきソファデザイナーが考えた最初の案です。
・とにかくミニマムに、シンプルに。
・空気のような軽やかさを。
・他のインテリアになじみやすく。
・スチールのカラーを変えて、ソファの生地と色合わせや色遊びができる。
ただ、スタッフから「シンプル過ぎ」「あえて見せたいほどではない」「ときめかない」など、反応は微妙でした。商品化への道のりは長い。
第2~4案:私なら、これがほしい。
スタッフM氏から「自分ならこういうのが欲しい」とデザイン案が出ました。盛り上がってきました。
・サポートフレームを2本から1本に。
・後ろ姿がネックなら、座面と背もたれの接するラインを隠すデザインに。
もういっちょ
・トップにウッドを使用することで、他のインテリアと統一感を出しやすく。
商品企画の発起人となったスタッフH氏からもデザインの要望が。
・曲線のあるデザインは?
・あえて厚みにボリュームを出してリズム感を出すのは?
・異素材を組み合わせるのは?
イメージにルネ・エルブストのチェアの写真が添えられてました。
もっとアート寄りにして「感性の高い人に響くもの」をイメージして。
商品開発あるあるですが、第一案が出ると「ちょっと待ったー!」と周りからアイディアが泉のように溢れてきます。
第5案:もっと自由に考える
つみきソファのコンセプトに立ち返り、削ぎ落とすだけではなく、もっと遊び心を持って自由に考えよう!と、棚が付きました。
・棚の強度が保てないこと
・座る度に物が落ちそう
で、ボツ…
続いて、木が入った方がインテリアに合わせやすいのでは?と、角パイプに木材(化粧板)を巻く案も登場。
・安っぽくなりそう
・カッティングシートでDIYできそう
で、ボツ…
続いて、北欧インテリアを意識した、丸パイプ(カラーバリエーションあり)案も登場。
これは新鮮!となったものの、
・日本でスチールパイプはなじみがない
・色選びはセンスを問われるからしんどい
で、ボツ…
基本に立ち返ろう!何がしたかったんだっけ?
ちょっと待って!サポフレの主張強すぎない!?
主役はソファであって、君には名バイプレイヤーになってほしいんだ。
つみきソファの背面を目立たせたい訳じゃない、きれいに見せたいんだ。
ターゲットは、“つみきソファの後ろ姿を理由に他のソファに流れていく人”。
目指すべきは、”つみきソファの良さを引き立てる物”。
原点に立ち返り、デザインを練り直す。で、決定したのがこちらです!
こうやって振り返ると、第2案で限りなく近いものが出てましたね。出てたじゃん!いやいや、この回り道が大事なんです。
これを形にしてみよう!
作るのは、鉄を熟知した家具メーカー。
デザインを考えるのと並行して、製作を委託する工場も探していました。
ソファにもたれた時の体重を一手に引き受けるので、まず重要なのは強度。だから素材はスチールで。
そしてデザインを叶えるためには、スチールの加工技術に長けていることも大事です。
そこで、弊社と同じ大阪に本社を構える『株式会社オーツー』さんに相談しました。
自社の鉄工所を持ち、鉄の性質・加工方法を熟知したエキスパートがいて、自社ブランド『QUON』でもスチールを使った多彩なデザインの家具を展開しています。
デザイン案を見てもらって、実現可能か、強度に不安はないか、何度も相談に乗ってもらいました。この商品開発はオーツーさんのご協力あってのこと。とても心強かったです。
試作品がやってきた!
かわいいじゃないのよ〜!
頭の中にだけあったイメージが形を持って眼前に登場する。試作品の完成は、商品開発の道のりでワクワクする瞬間の一つです。
商品化しよう!
の前に、決めなきゃいけないこといっぱい。
まずは名前から!
既存の『サポートフレーム』と『サポートフレームカバー』は商品として残すので、ややこしくない名前にしなくては。
A案:そのままで分かりやすい!『ウッドスチールフレーム』
B案:鉄と木だから木琴!『モッキンフレーム』
の2案が出て、社内で多数決してB案に決定!可愛いのが好きな社員たち。
次に価格だ!
1本につき¥24,000に決定!対抗馬となる『サポートフレーム+カバー(¥21,200~26,000)』と同等の価格に抑えられました。
次は商品のバリエーション!
スチール部はグレー、ブラックの2色展開に。
本当はもっとバリエーションを増やせたんですが、つみきソファはサイズを選んで、生地を選んで、オプションアイテムを選んで、と、ただでさえ購入までに悩ませがちなソファ。モッキンフレームは悩む工数が減るよう、あえてカラーバリエーションを絞りました。
ウッド部はオークとウォールナットの2種から。
ウッド部は無垢材で、細部にもこだわっています。近くでまじまじと見られてもOK!むしろ見てくれ!自慢だから!
『MOKKIN FRAME(モッキンフレーム)』デビュー!
そうして決めなきゃいけないことを一個ずつクリアしていき、2023年11月、晴れてデビューいたしました。
この商品開発の話が立ち上がったのが2022年6月で、デビューに至るまでほぼ1年半。
結構かかったな…このコラムを書いてて疲れてきた訳だ…。
ここまで読んでくださっている方、いらっしゃいますかね?めっちゃ嬉しいです。ありがとうございます。
モッキンフレームの登場で、つみきソファは後ろ姿も自慢できるソファに進化しました。弱点が無くなって、これからもっと最強のソファになれるはず!なってくれ!
この商品がこれから多くのリビングに置かれて、家族の風景の一部になっていくと思うと、これから楽しみでしょうがないです。
まだまだ新入りですが、今後ともどうぞよろしくお願いします。という訳で、モッキンフレームが気になる方はぜひ商品ページもご覧ください◎