ライフデザイナーだいごの四方山コラム
四方山コラム
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コラム vol.43
オフィスビル。古くなったものを違った用途で使う事を「コンバージョン」というらしい。

「オフィスビルを借りて何かをやってみよーかなー」
こんな変わった事をおっしゃる方に以前お会いした事がありましたが、変わった人だなーといったくらいの気持ちでスルーしていた時期が私にもありました。
こんにちわ!10月に入りました!もう、今年も残すところあと2ヶ月。年末に向けて色々と身の回りの整理を始める時期ですね。

さて、今回は街中にある「商業ビル」または「オフィスビル」の数々に焦点を当ててその魅力を探っていきたいと思います。

『乱立するオフィスビル』

ちょっと都心に出ると乱立するビル群。
完工から数十年が経過したようなビルになると外壁は所々色あせて、その無機質さを一層際立たせているように感じます。

このような古びたオフィスビル群は1970年代から1980年代のいわゆる日本の高度経済成長期の建設ラッシュに建てられたそうですが、現在空室を埋めるのに四苦八苦しているという話をどこかで聞いたことがあります。

『オフィスビルとは』

オフィス系のビルは、まず中に入ると各テナント用の集合ポストがあって、入り口付近に管理人または警備員の詰め所がある所が一般的ではないでしょうか。
たまに急にトイレに行きたくなったときにこういうビルの中にはいってトイレを借りようとすると「どこに行かれるんですか?」と管理人の方が訪ねてくるところは管理がしっかりしているような気がします。

建ててからあまり年月が立っていない、IT企業や広告代理店が入っているような小奇麗なビルとは違い、高度経済成長期に建てられたビルは年季が入っており、足を踏み入れた時の図書館やブックオフのような埃っぽい臭いの洗礼を受けなければなりません。

そして、内壁のなんともいえない黄ばみ具合、搬送用のエレベーターと錯覚するような乗客用エレベーターの昇降時のきしみなど、「あー、これこそ商業ビル」という要素を兼ね備えたビルをこの前ふと見つけました。

ただ、ちょっとそのビルには一つ変わった点があったのです。

そこには、古ぼけた廃ビルに似つかわしくないようなこじゃれた雑貨屋のような店舗が入居していたのでした。
最近、古い家屋をリフォームして現代風に使用するリノベーションが流行っていましたが、なるほど古民家だけが対象ではなくこういった商業ビルというものもそういった用途に使えるのだなと、世の中には色んな事に目をつける人がいるものだと感心しました。


『コンバージョン』

こういった、元々オフィスで使っていたビルを飲食店やアパレル、雑貨屋など本来の用途と異なる目的で使う事を業界用語で「コンバージョン」というそうです。

一説にはこのような現象が起こっている背景に団塊の世代の大量の定年退職や、インターネット回線の低価格化や高速化によるSOHOなど在宅勤務者の増加がオフィスビルの店子を著しく減らしている事が原因であると言われています。
同様のケースで、高度経済成長期にベッドタウンと呼ばれた郊外の団地に多くの世帯が大量に移り住んだものの、時が経過するに連れだんだんと高齢化に伴い入居者の数が減りゴーストタウン化したという話も聞いた事があります。

もしかしたら、このようなオフィスビルも高度経済成長の落とし子の一つといえるのかもしれません。

そして、そういった残された遺物を若い世代の人間が新しい用途で再利用する様はどこか風の谷のナウシカを彷彿とさせて、ファンタジーな雰囲気を醸し出していたのでした。